(1)

「公君……」
廊下でいきなり声をかけられオレは振り返った。後ろからオレに声をかけたのは運動部のアイドル・虹野沙希ちゃんだ。オレの所属するサッカー部のマネージャーでもある。
「沙希ちゃんか。どうしたの?」
「あのね、今度の日曜日空いてるかな?」
「空いてるけど、何か用?」
「あのね、メロンパンドームの虚人−汎神戦のチケットがあるんだけど、一緒に行ってくれないかな?」
「いいよ、オレで良ければ。じゃ、ドームの前で待ち合わせでいい?」
「うん、それでいいわ。じゃ、楽しみにしてるね」
(よっしゃ、虹野さんとデートだ!)


思い起こせば……これがあの夜の出来事の始まりだった。


「あ、抜けたわ! ヒットよ!」
案の定、野球大好き沙希ちゃんは試合が始まるとオレのことそっちのけで試合に熱中してしまった。
「あの……沙希ちゃん……」
「あ、頑張って! ホームランよ!」
「だから……沙希ちゃん……?」
「あぁん、途中で諦めちゃダメよ!」
「ぉーぃ……沙希ちゃん……」
「あら? どうしたの?」
「あのね、沙希ちゃん……」
「ほら、あなたも一緒に応援しましょう! 虚人のチャンスよ!」
「あぁ……そ、そうだね……(ダメだこりゃ……)」

試合は緊迫した一戦になった。なんと延長戦だ。10回……11回……決着が付かない。
さすがにオレは帰りの電車が心配になってきた。

「沙希ちゃん……電車の時間なんだけど……」
「あ、惜しいわ。もうちょっとでヒットなのに……でも汎神の新城も良く捕ったわ。頑張って追いかければファインプレイになるのね」
「だからね……沙希ちゃん……電車が……」
「ああ、惜しかったわ。いい試合ね。さぁ12回こそ決着つけるわよ」
12回……13回……決着がつかない……
「沙希ちゃん……そろそろ帰らないと……電車が……」
「凄いわ! 両チームとも頑張ってるわ。
 こうなったら虚人も汎神もないわ。どっちも頑張って! どっちも負けちゃダメよ!」
そんな無茶な……あ、まずい。今の言葉、近くの応援団に聞かれちゃったかな?
「おう、姉ちゃん。ここは虚人の応援席だ。汎神の応援ならあっちへ行きな!」
まずいな……
「あ、すいません。今やめさせますから……」
あわてて、応援団員に謝って、沙希ちゃんを連れて出ようとした。ところが……
「なにを言ってるの! どっちも頑張ってるじゃないの。
 こんないい試合には敵も味方もないわ。あなたも野球が好きなら、こんないい試合はちゃんと見なきゃダメよ!
 本当に根性があるわ、今日の選手達」
「あ、あぁ……そ、そうだな……」
「だったら、敵も味方もないわ! さぁあなた達も汎神の選手の応援もしましょう」
沙希ちゃんの気迫に圧倒されて、団員は引き下がった。そして……
「がんばれーがんばれー非山!」
虚人の応援団が汎神の選手の応援を始めた。球場は不思議な雰囲気に包まれていた。
沙希ちゃん……あなたは……凄すぎる。
14回……15回……そして……両チームは最後まで譲らなかった。連盟規定により引き分け再試合だ。
「よく頑張ったわ、両チームとも。引き分けだけど、いい試合だったわ」
「沙希ちゃん……」
「あ、公君。いい試合だったわね」
「そ、そうだね。でもね沙希ちゃん……」
「あ、公君。選手出口に行きましょう。頑張った選手達を見送るのよ」
「え?」
「さぁ、早く行きましょう!」
ちょっと待ってよ沙希ちゃん……時間が……電車の時間が……。


選手出口からはシャワーを浴びた選手達が次々と出てくる。
「あ、沫井選手よ。沫井さん、ナイスプレーでした。明日も頑張ってね!」
「だからね……沙希ちゃん……」
「あ、仁死選手よ。仁死さん、あしたも根性で頑張ってね!」
「いや、沙希ちゃん……それどころじゃ……」
「あ、斎討投手よ。斎討さん、ナイスピッチングよ! 今度は勝てるわ!」
こうして沙希ちゃんは出てくる選手一人一人に声をかけ続けた。
「あ、那賀島監督。素晴らしい試合でした。明日もがんばってください!」
ぉぃぉぃ……
「あ、堀討コーチ。選手に引き分けだけど落ち込んじゃダメよって言ってね」
コーチにまで声をかけ始めた。
「あ、マネージャー。明日から遠征ですね。頑張って選手を連れていってくださいね」
普通そんな人の顔は知らないぞ……普通のファンは……
「あ、広報さん。選手のコメントちゃんと記者の皆さんに伝えてくださいね」
そこまでやるか……
「あ、オーナー……」
ぉぃぉぃ……もういい加減にした方が……。あ、警備員の人がこっちに来た。こりゃ怒られるぞ……。


「熱心ですね。またですか?」
「は?」
オレは思わずその警備員さんに問い返した?
「またって……どういうことですか?」
「いやね、有名なんだよ。見送り口で選手に声をかけるファンは多いけど。
 オーナーや裏方にまで声をかける女の子は彼女だけだから」
「そんなにしょっちゅうなんですか?」
「あぁ2週に1回は来てるよ。ところで君たち電車は大丈夫?」
「え?」
「いや、今日は試合が長かったからね。終電大丈夫かな?」
そうだった! 終電に乗り遅れちまう!
「虹野さん、時間がないよ! 急いで!」
オレはまだ必死で用具係やグラウンド整備員、さらには審判やアルバイトのボールボーイにまで声をかけてる虹野さんの腕を取って、駅へと走った。


『本日の業務は終了いたしました。明日の始発は5時8分です』


オレ達の目の前にあったのはシャッターを下ろして閉まってしまった駅だった。
オマケにタクシーは全てで払っている。タクシーの営業所に聞いたところ、人宮球場も長い試合になり、こちらより30分前に終わったためそっちに行ってるとのことだった。それでも、試合が終わってすぐに来れば何とかなったかも知れないが……何しろ試合が終わってからも1時間以上お見送り口にいたのだから……タクシーはもう捕まらないだろう。
「どうしよう」
深夜の静まり返った町の中で二人で立ちつくすだけだった。

(2)

終電に乗り遅れたオレ達はとぼとぼと線路沿いに歩き始めた。

「ゴメンね……公君……私のせいで帰れなくなっちゃったね」
「虹野さんのせいじゃないよ」
「ううん、私のせいなの。ごめんね。でも、わたし頑張ってる人を見るとつい放っておけなくって……」
「それが虹野さんのいいところなんだよ」
「そ、そうかな……?」
「そうだよ、虹野さんのそう言うところ……オレ好きだよ」
「え?」
「どうしたの?」
「そ、そんなこと急に言われても私……」
間の悪いことに雨が降り始めた。仕方なくオレ達はガード下で雨宿りをしていた。
「雨降ってきちゃったね」
沙希ちゃんは、ハンカチで顔を拭きながら言った。
「どうしようか?」
オレも考え込んでしまった。
「いくら持ってる?」
「え?」
「お金。沙希ちゃんはいくら持ってる?」
「わ、わたしは……6000円くらいかな」
「オレが9000円持ってるから……明日の朝の電車賃を除けば二人で12000円か……」
オレは言おうかどうしようか迷った。
言っちゃったら沙希ちゃんに嫌われるかも知れない。でも、雨も強くなってきた以上、いつまでもガード下で雨宿りというわけにもいかないだろう。
考え込んでるオレを見て沙希ちゃんが怪訝に思ったのだろう。オレにたずねてきた。
「どうしたの?」
「怒らない?」
「どうしてわたしが怒るの?」
「あのね……この裏手の方に泊まれるところがあるんだ。……どうかな……と思って……」
「もしかして……それ……ラブホテル……っていうのかな?」
「そうなんだけど……
 ははは……やっぱやめよう……虹野さんいやだもんね、そういうの……ははは……」
「わ、わたしは……いい……わよ……
 雨に濡れちゃってるから……シャワーも浴びたいし……
 このまま……朝まで……っていうわけには……いか……な……い……わ……よ……ね……」
「そ、それじゃ……い……行こうか……」
こうしてオレ達は裏通りの方に入っていった。
そこには、妖しげなネオンが煌めきいくつかのラブホテルが「空き室あり」の表示を出していた。


「ど、どこにする?」
オレは沙希ちゃんにたずねた。
「わ、わたしは……ど、どこでもいいわよ……な、公君……え、選んで……」
「そ、そうだね。それじゃ、こ……ここにしよう」
オレは手近なホテルを指さして入ろうとした。
と、その時向かい側から歩いてきたカップルがすっとオレ達の前を横切り中に入っていった。オレは思わず沙希ちゃんの肩をつかむと電柱の陰に隠れた。
「は……ははは……」
「ふ……ふふふ……」
二人で笑い合った……なにを緊張してるんだ……中で寝るだけじゃないか……そうだ……別に何かをするわけじゃない……
「あ、……」
沙希ちゃんがネオンを指さした。みると『空き室あり』の表示が『満室』に変わっていた。
「タッチの差でのがしちゃったね」
オレは沙希ちゃんに言った。
「そ、そうね。でも、向こうの建物は、まだ部屋は空いてるみたいよ」
沙希ちゃんが指さしたホテルは『空き室あり』の表示が出たままだ。
今度こそ、とオレ達は二人でその入り口から中に入った。


「沙希ちゃん……どの部屋にする?」
フロントは無人だった。
部屋の写真がいくつか並んでいて、写真に明かりのついてる部屋は空いているのだ。
空いてる部屋のボタンを押すと鍵が出てくると言う仕組みだ……といっても別に以前に来たわけじゃないぞ。
「わ、わたし……どこでもいい……」
「それじゃ、このピンクの部屋にするね」
そういうとオレは室内がピンク色で統一されている部屋のボタンを押し鍵を手に取った。
「205号室だ。さ、行こう」
そういうとオレは沙希ちゃんとエレベータに乗った。


部屋に入ったオレ達は、とにかく咽が渇いていたので冷蔵庫を開けた。
中に入っていたのは……ビール、日本酒、赤蝮ドリンク、アリナミンV……烏竜茶はないのか? あ、あった……
オレは烏竜茶を出すと2つのグラスに分けて沙希ちゃんに1つ渡した。
「ありがと」
そういうと二人で一気に飲んでしまった。
「ふふふ」
「ははは」
思わず目を合わせて笑ってしまった。
「もう遅いから風呂に入って寝ようか?」
「そ、そうね。そうしましょう」
「風呂はどこかな?」
「あ、あそこみたいよ」
沙希ちゃんが部屋の反対側にあるガラス戸を指さした。
オレは立っていって開けてみた。そこには……貝殻の形をしたバスタブに滑り台がついていた。
「わぁ……遊園地みたい……」
後ろについてきていた沙希ちゃんが面白そうに見ていた。
「沙希ちゃん、先に入っていいよ」
「でも……」
「いいって、先に入ってよ」
「やっぱり、公君、先に入って」
「じゃ、一緒に入ろうか?」
「え!?」
沙希ちゃんは顔を真っ赤にしてしどろもどろになっていた。
「え、あの……いえ……でも……その……だから……え??」
「冗談だよ、冗談」
オレは笑っていった。
「もう……冗談でも言っていいことと悪いことがあるのよ」
「ゴメンゴメン。でも、顔が真っ赤だよ」
「公君が変なこと言うから!」
「ははは、それじゃオレ先に入るよ」
そう言うとオレはバスタブにお湯を入れはじめた。


「お先に。いいお湯だった……」
オレはホテルに備え付けのバスローブを着て出てきた。沙希ちゃんはというと、ベッドの上に座ってテレビを見ている。
「あ、沙希ちゃん。入っていいよ」
沙希ちゃんはこっちを向くと顔を真っ赤にしてテレビのスイッチを切った。そして、
「お風呂はいるね」
というと一目散にバスルームに入っていった。
(どうしたんだ? 顔が真っ赤だったぞ……)
そう思いながらオレはベッドに腰掛けるとテレビのスイッチを入れた。
「あ〜ん、あ〜ん、あ〜ん……」
テレビに映ったのは裸で男にしがみつき悶えている女の人……世間一般で言うところのアダルトビデオという奴……いや……これは……この部屋の中じゃないか……
そう、いわゆる「消し忘れビデオ」って奴だ。オレも好雄に借りて見たことがある。
「はは〜ん」
オレは沙希ちゃんの態度の豹変の理由がわかった。これを見ていたんだろう。
見ていたと言うより沙希ちゃんのことだからテレビをいじっている内にこれが映ったんだろうな。びっくりしただろうな……。
オレは面白いのでベッドの側にあるボタンを色々いじってみた。
「これはなにかな?」
部屋の明かりが点滅し、ミラーボールがクルクル回った。
「これは?」
音楽が鳴り始めた。ダイヤルスイッチをひねるとムードたっぷりの曲になったり、最新のロックになったりする……
「こいつはなんだ?」
ベッドが回り始めた。オレはあわてて止めようとしたがベッドが廻っているのでなかなかボタンに手がかけられない。やっとの事で止めるのに成功した。
「あとはこれか……なんだろ?」
何の変化も起きない。
なんだこれは? と思ってふとバスルームの方を見てびっくりした。バスルームの壁が消えガラス張りになっている。
しかも虹野さんがこっちを見て髪を洗っている……あそこは確か……鏡だったよな……ということは……
「マジックミラーだ!!!」
全てを悟ったオレは、見ないように……と思ったが男の性でついつい眼がそっちにいってしまう。沙希ちゃんは以前『私、胸ないから……』と言ってたが……実際はどうなんだろう……?
オレはもっとよく見ようと一歩一歩ガラスに近づいた。
(湯気が……ちょっと邪魔だな……)
必死でガラスを擦ってくもりをとろうとしてみた。
(オレは馬鹿じゃねぇか? くもってるのは向こう側じゃないか……)
くもったガラス越しにしか見えない沙希ちゃんの体。オレは色々角度を変えて、ちょっとでもみようとしていた。しかし、髪を洗い終えた沙希ちゃんは湯船に戻っていった。滑り台で遊び始めたようだ。
しかし……こういうのは……
(見えないもんだなぁ)
そうこうする内に沙希ちゃんが体を拭いて風呂から出る気配がしてきた。
オレはあわててベッドに戻るとスイッチを押して風呂場の壁を元に戻した。
沙希ちゃんもピンクのバスローブを着て出てきた。
「あぁ、いいお湯だったわ。
 ここのお風呂面白いわね。わたし滑り台で遊んじゃった」
見ていましたから、知ってます……とは言えないので、
「ふうん、面白かった?」
「面白かったわよ。こういうお風呂っておもしろくっていいわね」
しばらく二人でそんな話をしていた。
「それじゃ、そろそろ寝ようか」
オレは沙希ちゃんに言った。
「そ、そうね……寝ましょうか……」

(3)

「じゃ、沙希ちゃんはベッドで寝るといいよ。オレはこっちのソファで寝るから」
オレは沙希ちゃんにそう言うとソファの方へ行った。
「あ、公君。ソファで寝ると明日の朝、腰が痛くなるわよ。
 私がソファで寝るから、公君、ベッドを使って」
「そんなことできないよ」
「だめよ、公君は野球部の戦力なんだから……こんなことで腰を悪くされたら困るわ」
「でもね、沙希ちゃん……」
「だめよ。マネージャーの言うことを聞きなさい」
大きな目で見つめられてしまった。この目に弱いんだよな……。
「わかったよ。じゃ、掛け布団はそっちに渡すね」
「あ、それじゃぁ……風邪引くわよ」
「それなら、オレがソファに寝る。
 沙希ちゃんがソファに行くなら布団は沙希ちゃんが使うこと」
オレは仕方なく、ソファを沙希ちゃんに譲った。でも、掛け布団は強引に沙希ちゃんに使わせることにした。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
こうして二人は眠りについた。


オレは天井の模様を見ながら寝付けずにいた。
そりゃそうだろ。同じ部屋で、いや、すぐ側に沙希ちゃんが寝ているんだ。緊張するなと言う方が無理だ。
「沙希ちゃん?」
オレは沙希ちゃんを呼んでみた。
「もう寝た?」
返事がない。もう寝てしまったようだ。
何気なしにソファで寝ている沙希ちゃんの方を見た。沙希ちゃんはむこうを向いて寝ていた。
「う〜ん……」
沙希ちゃんが体の向きを変えたとき、体にかかっていた布団が床に落ちた。
「!!!!」
びっくりしたって……そりゃ……沙希ちゃんの浴衣は大きくはだけて太股が丸見えになっていた。
(見ちゃダメだ。オレはそんな男じゃない……)
ドキドキしながらもオレは沙希ちゃんの方を見ないよう反対側を向いた。


「……くん?」
沙希ちゃんが何か言ったようだ。
「公くん?」
寝言なのか?
「もう寝ちゃったんだね」
後ろで沙希ちゃんが起きあがる気配がした。
オレははだけた浴衣を見ていたのを気づかれないように寝た振りをしていた。
「公君、やっぱり掛け布団がないと風邪引いちゃうよ」
そう言うと沙希ちゃんはベッドの方にやってきた。
パサッ
オレの上に布団が掛けられた。オレは起きて沙希ちゃんに声をかけようとした。
ところが……
「主力選手に風邪引かせちゃマネージャー失格だものね。来年甲子園に行こうね」
そう言うと沙希ちゃんはソファに戻っていった。
オレは沙希ちゃんに声をかけそびれてしまった。


「クシュン!」
沙希ちゃんのくしゃみが聞こえた。
やっぱり布団がないと寒いんだよな。オレは沙希ちゃんに布団を渡すために起きようとした。
すると、また沙希ちゃんの起きあがる気配がした。
「やっぱり、公君の言うとおりだね。布団がないと寒いね」
(だからオレはそう言ったんだ)
「公君、もう寝ちゃった?」
(こうなると起きてるとは言えないよ……)
「じゃ、大丈夫だよね。ゴメンね、ちょっとお邪魔するね」
そういうと布団の中に沙希ちゃんが入ってきた。
(なななななな、何ーーー! 沙希ちゃんマジか!)
沙希ちゃんは布団の中でオレの背中に顔を埋めていた。
これではオレはいよいよ寝た振りを続けるしかなくなってしまった。
「あのね……公君……」
(寝た振り、寝た振り……)
「寝ちゃってるんだね」
(はい……僕は寝ています……。zzzz……)
「あのね……公君……私ね……ちょっとね……期待してたんだ……でもね……」
(ええええええぇーーー!!!!)
「公君……やっぱり優しいよね。だから……だから……」
(だから……?)
「私…………………………もう寝るね」
そういうと沙希ちゃんはオレの背中に顔を埋めたまま眠ってしまった。
オレは……緊張のあまり寝付けなかった。


「おはよう!!!」
沙希ちゃんの元気な声が聞こえてきた。
「ふぁ……ふぁほう(ああ、おはよう)」
「どうしたの? 元気ないぞ! 朝寝坊はダメ! 早く起きなさい!」
誰のお陰で眠れなかったと思っているんだ。
結局オレはほとんど熟睡できなかった。背中に沙希ちゃんの寝息を一晩中感じていたのだ。
そんなことは知らずに沙希ちゃんは今日も元気だ。
「さぁ、起きなさい! 今日も一日、根性よ!!!」

Fin

作品情報

作者名 ハマムラ
タイトルときめきメモリアル短編集
サブタイトル二人の夜(虹野沙希編)
タグときめきメモリアル, 藤崎詩織, 主人公, 他
感想投稿数179
感想投稿最終日時2019年04月09日 07時39分22秒

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  • [★★★★★☆] いやー。やっぱり沙希ちゃんはサイコーっす。彼女は純だから抱きしめたい(笑)。
  • [★★★★★☆] やはりときメモは純愛モノだねぇ
  • [★★★★☆☆] 次は恋愛感情に発展する所も書いてほしいな。
  • [★★★★★★] おもしろかった。ほんとにこの続きが見たい
  • [★★★★★★] いいですねぇ(^-^)。読んでるこちらも主人公のようにドキドキして読みました。次回もドキドキさせる小説待ってます。もちろんヒロインは沙希ちゃんで!!(^o^)/
  • [★☆☆☆☆☆] もっとエロスに
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  • [★★★★★☆] 最高っす!!
  • [★★★★★★] なんかとてもどきどきしました。おちもときめもらしいなと思いました。おもしろかったです。
  • [★★★★☆☆] 次は深いトコまで
  • [★★★★★☆] 最高!!!
  • [★★★★☆☆] 何か虹野っぽくて良い!
  • [★★★★★☆] 球団や選手たちの名前が妙すぎて雰囲気を損ねた感があります。
  • [★★★★★★] 通りすがりのネットサーファーですが、とても面白かったです!是非続きを(^.^)
  • [★★★★☆☆] SEXをしていたらもっとよかった
  • [★★★★★★] いつまでたっても始まらない(笑)けどそれは何つーか
  • [★★★★☆☆] このころの汎神はダメ虎で有名でしたからね(今も)、非山に新城ですか、なつかしいwww
  • [★★★★☆☆]