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1:同居という名の始まり

母「ほらー、早く運んじゃって。」
僕「分かってるよ。」
また…転勤か。中学1年も終りようやく学校に慣れてきたのに、またか…
両親は仕事柄、ころころと転勤を繰り返し、今回で二桁台に突入といったところ。
少しはそれに付き合わされる子供の身にもなって欲しいものだ…
「ぶつくさいってないで早くしなさい!日が暮れてしまうわよ。」
僕は自然に愚痴ってしまっていたらしい、すねをかじらせてもらっている以上は文句を言えない…
「まあ、いいか。」
どうせ、たいした思い出があるわけじゃなく、何も未練もない。
問題があるとすれば少しめんどくさいとかそのレベルのことだ。
母に促されるままに引越しのために荷物を運ぶ。
重くはない…が、前がよく見えない。
中身は羽毛布団か何かだろう。
完全に視界が遮られていて、勘と記憶を頼りに道を探す。
どうせ前が見えないなら…と思い、歩きながら空を見上げていた。
青い空。もう何度こんな空を見たことか?
去年もこうやって運ばされたんだったな。
色々感傷に浸りながら歩を進める。未練がないといったが、それは多少違うらしい。
この町、なんだかんだいっても1年近く暮らした町…名前は確か…丸井町、
今日でお別れだ…
「まあ、いいか。」
ブルーが入りかけた自分にまたそう言い聞かせる。
もしすてきな恋でもしていたら話は違うんだろうけどね…
僕には縁がなかった…か…
「喜んでいいのやら悲しんでいいのやら…」
相変わらず真っ青な空をを見上げてため息をつく…
思い出を作るのは結構難しいんだなというため息だ、 
長いため息、そしてそのため息をつき終えようとしたとき…

…どんっ!!!


??「起きなよ!」
声が聞こえる…それはしつこく繰り返される…が、起きる気にはならない。
だって今は春だもの…起きれといわれて起きられるような季節じゃない。
??「おい!起きなってば!」
うるさい…もう少し寝させて欲しい、それに今は…
…今は引越しで忙しいんだよ…?
僕は違和感を覚える。
あれっ?なんで引越しなんだ?もう3年も前の話だぞ?
そしてやっとのことで目を開ける…
今さっきのは…夢?
目を覚ましたものの意識まだはっきりとはしない…
何も考えられないまま、徐々に目だけが覚めていく。
まだ眠そうな顔で辺りを見まわしてみる…
「…っ!?」
寝ぼけていた頭の中は一気に凍り付いてしまう。
なんと大勢の人から注目の的になっていた!
混乱する。ここは何処?なんで僕は眠っていたんだ?なんで皆が僕を見ているんだ?
パニックを起こしているうちに、さらに視線が注がれる。
必死で神経を辺りに集中させ、状況を整理する。
どうやらここは教室の中で、クラスの皆に注目されているらしい。
落ち着け!ここは…教室?学校か?
学校でさっきまで寝てた、ということは…まだ眠い!
…しーーーん(頭の中に流れる効果音)…
一向に状況が整理されない。時間が残酷なまでにゆっくりと流れ、
なす術もなく立ちつくしている…見るに見かねて誰かが小声で話しかけてきた。
??「君っ!自己紹介だってば!」
「じこしょうかい………ってなんだっけ??」
…しー――ん(頭の中に…略)…
せっかくの助け舟もこれでは意味がなく、苦し紛れに出た言葉が、
「お呼びでない!…です?」
…しー――ん(実際の効果音)…
「…ははは?」
…しー――ん…
暖かい春風が吹き抜ける中、その教室の空気だけは非常に寒いものになっていた…
その空気の中、僕はばか面をさらしていた。

僕 「…はあ…」
今日は新学期最初の日、転校してきた僕に自己紹介が回ってきて僕は眠っていた…
と、いう訳らしい。
そうとも知らず我ながらとてつもなく恥ずかしいことをした…もとい、言ってしまった。
「転校初日から見事に寒いイメージを植え付けちゃったよ…」
僕は頭を抱える。さっきの事が何度もリピートして離れない。
??「ほらっ!そう落ち込まないで。」
僕「…大森君…」
さっき僕を起こしてくれ、助け(ようとし)てくれたのは彼、大森正晴君だ、
大森「大丈夫だよ。そのうち皆忘れてくれるから…多分。」
親切でフレンドリーなこともあって、僕達はあれからすぐにうちとた。
「まあ眠っていた君も悪かったわけだし…」
…確かにそうかもしれないが、これには深い訳があったりする…
両親が転勤…今度は海外だったので、僕は日本に残った。
そして僕は一人暮しになってしまうので、
親戚もいて、昔すんだことのある丸井町の地元にある丸井高校に転校することになった。
余裕を持って前日には家(一人暮し)に着いている予定だったのだが…
…実はまだ家を見たことはない、というか、丸井町に到着したのは今朝のことだったりする。
つまり、日付を間違っていた!…そんでもって慌てて学校に直行したからまったく眠っていなくて、
大森「やっぱり君が悪いんじゃないか。」
「うっ!」
ぐさっと鋭い一言…そうです。僕が悪いんです。グスンッ…
「そんなことよりさ、学校が終ったらどこか遊びにいかない?
 ぱ―っと遊んで今日のことは忘れよう。それにさ、友達としてよく理解をしとかなくちゃ。」
ほんとに今日は散々だった…
うじうじしてもしょうがないので、大森君の誘いになることにした。
「…いいね…。」
「やった―――!それじゃあ学校が終ったらすぐに行こう!」
嬉しそうにはしゃぐ大森君を見ていたらなんだか少しだけすっきりしたような気がする…
何もかもが最低だったが、彼と友達になれたのだけが救いか…


…テクッ…テクッ…テクッ…
とまあ、始業式は終り、今日1日の予定は終了した。
僕は今トイレに向かっている…歩きながらゆっくりと朝の事を思い出す。
思い出しただけで情けなくなるようなことだったが、今はそのことではない。
眠っていたときに見ていた夢の事だ…
あれは3年前、僕が丸井町から引越ししてきたときの夢だった。
「またあの夢を見るなんて…」
『あの夢』を、一時期、毎日のように見ていたときもあった。
僕の初恋の記憶…荷物を運んでいる時にぶつかった女性<ひと>…同い年か一つ上か?
とにかく、僕はその女性に目を奪われた、恋をした。
あの時は何もできず、丸井町から引っ越して行くしかなかった…
でももうそれは終った事、もう忘れかけていた。
が、曖昧ではあるがまた見てしまった
…また丸井町に戻ってきたのが原因なんだろうか?
…タッ…タッ…タッ…
考え事をしているうちに、徐々にトイレが…!
道(?)に迷いなぜか一つ上の高三の校舎まで来てしまっていた…
トイレが見つからない…ヤバイ!!!
…タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ…
「!!!」
あった!僕はそのトイレが光り輝いて見え、一目散に突っ走った。
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ…どんっ!!!
僕 「えっ!?」
??「きゃっ!!」
その瞬間僕の体に大きな衝撃が襲う。僕はとっさのことながらなんとか体制を立て直し、
「いててて…何が?」
視線をその衝撃のあった方向に向ける…
自分の前、数メートルの所に女子生徒が倒れている。
…どうやら衝突してしてしまったらしい。
やってしまった…かなり激しくぶつかって派手にぶっ飛ばしてしまった。
謝らないと…そう思って彼女の前まで早足で詰め寄った。
「ご、ごめ…っ。」
そこまで言って言葉が途切れる。
それ以上の言葉を失ってしまった、とでも言えばいいのか…
彼女の瞳が僕を見ていた。
ぶつけた(であろう)腰をさすりながら、キッとこちらを睨んでいる…
鋭い目つき…少しつり目がちだけど大きい瞳。
『恐い目つき』というのが適切な形容だったかもしれない…
しかし僕はそれに引き入られた。その綺麗な瞳に、茶色がかったロングのさらりとした髪に…
胸が高鳴り出す…ふいに既写感を覚える。
たしか3年前もこうだったと思う。あの時ぶつかってしまった娘も、たしかこんなふうに睨んで、
僕もこんなふうにドキドキしていた。
これは…恋なのか?
理解するより先に僕は彼女を見つめる…
彼女のその顔を、そしてその身体を…見つめ続けるだけでいくらでも時が流れて行きそうな気がした。
いつのまにか僕の中にはそんな空間ができていた。
・・・・・・
それは怒鳴り声によって破られる…
??「ちょっと!あなた…いきなりぶつかってきて、危ないじゃない!」
僕は突然現実に引き戻されて戸惑う。
僕「…あ…ご、ご…」
??「それに人にぶつかっておいてごめんなさいの一言もないの!?」
「…と、ごめ…」
「けがでもしたらどうしてくれるつもり!!」
「ご、ごめん。」
「ごめんで済む問題じゃないわ!」
「え、その…」
さっきまではさながら夢の中にいた。
夢から覚めて待っていたのは彼女の怒鳴り声…
延々と説教が続き、僕は何も言えずにそれを聞いていた。
きつめだけど、すうっと通った綺麗な声…そのすべてがひどく魅力的に感じられる…
「ちょっと?聞いてるの!?」
「あ…ごめん…ぼおっとしてた…」
「なんですって?いい加減にしなさいよ!」
君の声に聞き入っていた…なんてとても言えないし、なんの言い訳にもならない…
・・・・・・
永遠に続いていきそうだったが、その様子に少しずつ人が集まってきたのに気付くと、
「次からはちゃんと前見て歩きなさい!!!」
といってさっさと去って行ってしまった。
僕は遠のいていく後姿を呆然と見つめながら、そこに立ち尽くした。
見えなくなってもしばらくはその方向を見ていた。
胸はまだ高鳴っている…僕は確信する。これは恋だと…
・・・
しばらくしてようやく冷静さを取り戻すと、当然のように彼女の事が気になった…
彼女は誰だったんだろうか?高校三年生なのは間違いない…多分。
改めて考えてみると彼女はすごく性格のきつい女性だった。
完全に圧倒された…でも悪い気はしない…
一つ上…同じ学校、彼女の事が知りたい…名前すらも分からないなんて…
大森「今の、小野寺さんだよ。」
僕「うわっ!?…大森君!」
「今君がぶつかったのは小野寺桜子さんって言うんだよ。」
「もしかして僕…」
口に出していた?…頭の中が真っ白になる…それにしてもなんて悪いタイミングで…
「まあ、丸井高校男児なら一度は彼女に憧れるものだからね。」
…深呼吸をする…考えてみれば大森君に聞かれても困るような事じゃない。
それに彼なら協力してくれるかもしれない。
僕「…で?」
大森「ん?熱心だね…まあ君の為だから説明してあげるよ。
  彼女は小野寺桜子さんっていって丸井高校3年、名家である小野寺家の一人娘でー、
  見ての通り美人でスタイルもいい…おまけに成績の方もばっちりで、すごく人気があるんだ。
  なんでもファンクラブとかあって、丸井高校の『女王様』…なんて呼ばれているんだよ。」
大森君は得意そうに説明を始める。そのうちに彼女のスリーサイズまで出る始末…
「やけに詳しくない?」
「僕も小野寺さんファンだからね…でもこれくらいなら結構知っている人はいると思うよ。
 なんたって女王様だもの、彼女に憧れる人はすごく沢山いるけど…」
更に得意そうな顔になる。
「けど…?」
大森君はやれやれといった顔をしながら…
「今まで誰にもなびかなかった…ってわけ。
 それどころか彼女のほうが言い寄ってくる人を弄んでいるような感じだし。
 あ…『弄ぶ』って言うのは表現が悪かったかな?つまり…」
「だいたい分かったよ。」
「そう?」
つまり彼女は…僕には高嶺の花ってわけか…
大森「そうっ、高嶺の花。まあ悪いことは言わないから諦めなよ。」
…どうやらまた思った事を口に出していたらしい…
「………。」
…諦めるか…
僕はやりきれない気持ちでいっぱいだった…まだ、胸は高まっているというのに…
大森「ところでトイレに行くんじゃなかったの?」
僕 「はっ!!!」
(後はご想像にお任せします。)

大森「今日はよく遊んだね。」
あれから色々あったが、それは置いといて、大森君と町へ繰り出した。
ゲーセン、カラオケとまあ無難に遊んで、今は五時。もう家に帰る時間になっていた。
「君、そう言えば今日から一人暮しなんだよね?」
駅まで歩いている途中に大森君がそんな話を振ってきた。
「いいねえ、一人暮しだなんて男の憧れだよね?うちの親、厳しくてさ。」
「今度、遊びに気なよ。いつでもいいからさ。」
大森くんは暢気な顔に『君は暢気だねえ』とでもいいたそうな表情を浮かべて、
大森「でも一人暮しって大変なんだよ…一人で家事とかやらなきゃならないし、やっぱり寂しいしね。」
考えてもいなかったが、言われてみると少し不安だった。
生まれてこのしかた家事なんてやった事がない…
寂しいというのももっともな話しだ…
一人暮し…これからどうなるんだろうか?
そう思うと、少し雰囲気が暗くなる…
が、それはそう長い間ではなかった。
大森「まあ、女の子と同棲するっていう手もあるし…」
僕「ないって。」
すかさず突っ込みをいれたりして…
「でも気をつけなよ。ばれたら退学になっちゃうから。」
「いい加減にせんかいっ!」
大森君のなんの脈絡もないボケと僕の突っ込みで場が和んだところで二人は別れる。
大森「じゃあ、君の彼女によろしくね。」
「はいはい…じゃあね。」
大森君と別れ僕は僕の電車に乗る…大森君…いいやつだよな、なんて考えながら。

僕「えーと…」
地図と住所の書いた紙を片手に辺りを見まわす…地図と住所だけですぐに分かるわけもなく、
さっきからこの近辺を歩き回っている。
「この辺なのは確かなんだけどなあ…」
この辺りはマンションが立て並ぶ住宅地…そのうちのどれかなのだが…
マンションはざっと見まわすだけで10件はある…
まよったあげく僕は自分で探すのを諦め、人に尋ねることにした。
もう時間が時間であたりにはほとんど人はいない…十メートルぐらい前を歩いている人影を見つけてかけより、
『あの、すみませんが…』と、言おうとした、が、慌てて声を飲んだ。
その人影は…!僕の胸は高鳴る…今日の放課後に感じたのとまったく同じ…!
距離を五メートルぐらいとり、その人を見る。見間違えじゃない!
「…小野寺さん…?」
自然に声が漏れる(彼女には聞こえていないが)、彼女を確認するとさらに胸が高鳴った。
胸が痛いほどばくばくいっているのに、むしろ心地良い…
切ないけど、胸から溢れ出てくる愛おしさ…
身体全体で感じる幸せな気持ち…
そのどれもが、僕に感じさせる。この気持ちは高嶺の花などという理由では割りきれないと言う事を。
あの時もそうだった…引越しという理由で諦めてしまった時も。
悔しかった、ずっと後悔し続けていた。
そして忘れた…忘れようとした…僕の弱さ。
恋することで弱気になっていた。
もう、後悔はしたくない…そう思うといつのまにか彼女をつけていた。(ストーカー?)
颯爽と歩く彼女の後を気付かれないようにつけ、やがてあるマンションに着いた。
彼女はそのまま中にはいって行った。
僕はその前にたって首をひねった。そのマンションはいわゆる庶民向けのマンションだった。
大森くんは名家の一人娘だっていっていたが、名家の一人娘がこんな汚いマンションに住んでいるのか?
…気にはなったが気にしてもしかたがない…僕は中に入ろうとしたがそこで立ち止まる。
そのときになってようやく自分がストーカーさながらの行為をしていた事に気付いた…
「はあー――…何をやってるんだ僕…」
いくら頭が回らなかったとはいえ、これじゃあまるで(?)ストーカーだ…
僕は肩を落としその場を立ち去ろうとする。
「待てよ?」
僕は住所の紙を握り締め、わずかな期待を胸にそのマンションに入って行く…
まさかとは思うが…
まさかとは思ったが…
あった…!
郵便受けの住所に僕の住所が書かれていた…!
「そんな…」
一瞬何がなんだかわからなかったが、徐々に実感を伴いそれは喜びに変わっていった。
彼女は…僕と同じマンションに住んでいる?もう一度住所を確認する。
彼女は僕と同じマンションに住んでいるんだ!
僕はその事態に胸を膨らませる…好きな女性が近くに住んでいる…
都合のいい想像が頭に駆け巡る…
…登校、下校、そして…
「よしっ!」
僕はガッツポーズをして階段を上る…僕にもチャンスがあるんだ…今度こそ!
一気に駆け上がって一気に屋上まで上がる。疲れも感じず、家の前についた。(屋上の上に家…そういう設定)
多少がたがきているがそんな事今の僕にはどうでもいい。
これから一人暮しが始まる、これから僕の恋が始まる、そうだ!素的な思い出はここから始まるんだ…
期待に胸を膨らませ、ドアを開ける!カチャッ…
「あれっ?」
ドアにはカギがかかっていなくて、なんの抵抗もなく勢いよく開いた。
!!!どーーーん!!!
おかしい?…と、思う間もなく大声が響き渡る!
??「きゃーーー!!!」
きーーーんと耳をつくほどの音量!そしてさらに信じられないものが目に写る…
僕「えっ…えっ?…えっ!」
そんな?何がどうなってるんだ?なんで…
桜子「ちょっと!あなた…いきなり人の家にはいって来てどういうつもりなのよ!」
今更間違えようがない……なんで小野寺さんここにいるんだ!?
「あなた…昼間の…ひょっとしてつけてきたの?
 ……………………………きゃーー―!来ないで!!!」
僕「えっ?…違う…いや…違わないか?ってとにかく違うんだよ…」
「この変態!近寄らないでよ!」
昼間のあの鋭い目つきで睨んでくる…さすがにそれを見入るような余裕はない。
「とにかく違うんだよ!話を聞いてよ!」
「黙りなさい!警察を呼ぶわよ!」
「ここは僕の家なんだ!」
「…えっ…」
やっとのことで彼女は静かになった…僕は大きく息を吸い込み彼女を見据えて言う…
「なんで君がここにいるの?」
「え…?もしかしてあなた…」


・・・・・・・・・・・・・・・・


「と、言うわけなの。」
彼女は理由を説明した。それを聞き終えて僕は唖然とした…
「親と喧嘩して…ここに家出して来たわけ?」
「そうなの…空家だと思って…」
すごい非常識…いや、世間知らずとも言いますか…唖然とする僕に彼女は更に、
「だから…いいでしょ?ここに住ませて、ね?お願い。」
どが―――ん!…この人は何をいっているんでしょう…
「いや…その、もちろんあなたも一緒でいいから。」
どが―――ん!…
「…ね?いいでしょ?」
お願いしますと手を合わせる彼女…かわいい…って、いいわけない!!!!!!!!!!!!
「いいわけないだろ!」
と、一時はしおらしくなっていた彼女が急変する。
「なんでよ!私がこんなに頼んでるのに!!!」
そんな言い分は通るはずはない!言ってる事が滅茶苦茶だよ!
…の…はずなのに…


・・・・・・


桜子「じゃあ、また明日ね。お休みなさい。」
僕「…おや…すみ…」
何処でどう間違ったのか…なんていうかいつのまにか彼女に言いくるめられてしまった…
一体なんなんだ?どうなってるんだ?これは夢なのか?
お約束のほっぺつねりはお約束通りの結果に終る…
あいにくこの状況は夢ではないらしい…

僕「眠れない…」
眠れるわけがない、この家に…自分と十メートルも離れていないところに彼女がいる…
確かに彼女の近くにいれるのは嬉しい、嬉しかった、しかし同居ともなると話が違う。
異常過ぎる、恋人でもない男女が同居をしているなんて…
…壁の向うで眠っている彼女を思い浮かべる。
やはり眠れない…まさか彼女のあんなわがままが通ってしまうとは思わなかった。
通してしまったのは僕の責任だけど…。
彼女がいるんだ………いるんだけど、素直に喜べない。
胸がドキドキして今度は気分が悪い。
考えれば考えるほど頭が痛くなる。今自分を支配している感情が分からない。
喜びなのか?期待感なのか?不安感なのか?敗北感なのか?
分からないままやがて一つの結論に収束する…
…彼女に出て行ってもらうしかないと。
そう思い立ったらすぐにベットから跳ね起きる…汗をかいていたらしくかなり冷える。
そのままふらふらと部屋を出て彼女の部屋の前まで歩く…大きく深呼吸をして中に…

彼女は…眠っていた。暗くてよく見えないが寝息が聞こえる。
電気を探す…が、見つからない。仕方なく直接彼女を起こすことにした。
1歩…また1歩彼女に近づき、それに伴って緊張感が増してくる。
何をそんなに緊張しているのか?…彼女を起こすだけなのに…
しかし緊張感は否応無しにたかまる…引きいられるように彼女前に…
その瞬間、僕の緊張感はす―っと引いていった。
月明かりに照らされる彼女の顔…やすらかに眠る彼女の顔…そしてまた胸が高鳴る…
心地良い…今さっきまでの不快感が嘘のようだ…
どんなに混乱しようと、この気持ちだけは否定できない…
僕は今、彼女に恋をしている…そして僕の目の前にいる…
彼女の顔が信じられないほど美しく見える…そして僕はそれに誘惑される…
…悪魔の誘惑…
その誘惑に引き寄せられるまま…僕は彼女の顔に自分の顔を近づける…
迷いはない、それが間違っていることだと認識させるだけの理性はない、
ただ、自然と、身体が動く…そう、自然に彼女の唇が近づいてくる。
もう少し…もう少しで…
しかしその唇はふさがれる前にかすかに動いた。
桜子「…パパ………」
僕はその言葉に驚いて顔を離す、そしてもう一度…
「…パパ………………ごめんなさい………」
意外な言葉を聞いた僕は更に意外なものを見る。
…泣いている?…彼女の閉じられたまぶたからは間違いなく涙が…

…ばたんっ…
僕は途端に自分のやろうとしていた事が恥ずかしくなって慌てて部屋を出た…
そして廊下で頭を冷やす。
なんてことしているんだ?最低な事をするところだった…
どうしようもなく嫌悪感が込み上げてくる…
…どさっ…
その気持ちを胸に抱えたままベットに倒れこんだ…
「パパ…か…」
考える…僕も人のことは言えないか………僕だって滅茶苦茶な事をしている…
彼女の涙を思い出す…意外な言葉を…
「はあ…」
彼女のいる部屋を壁越しに見る。…彼女の唇…
あれだけ自分が嫌になったのに、自分を情けないと思ったのに、僕の胸の高鳴りは消えなかった。
今夜は…眠れない。

中書き

とりもあいずは僕のデビュー作です。色々と問題があるとは思います。自分でも分かります。
技術より先に創作意慾が出てきて作っちゃったって感じです。
それでもがんばって少しでもいい作品が書けるようになりますからよろしく。
P.S.ラストが『エOァ』っぽいけどまあしょうがないですよね?

Writer: ワープ 氏

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総合評価 投稿数: 24 pts. / 平均: 4.6(良い方だと思う。)
コメント
  • ぜひ次回を!!立ちあがれ桜子ファン!!(笑)
  • もうすこし、わかりやすい言葉(漢字)を使うともっと良くなるよ。
  • 少し強引に引っ張り過ぎかな。
  • 同じ桜子ファンとして期待してます。
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