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第2話 秋風の行方

「先輩、何か御用ですか?」
「あのさ・・・ちょっと、ボクに協力してくれない?」
「はあ・・・」

放課後。やっぱりというか、大森君に質問攻めにあっていた。

「だから、別に秘密とかそんなのじゃなくって、単にちょっとした知り合いってだけだよ」
「本当かい? ・・・僕に黙って、実はすでにつき合ってるとか、同棲してるとか・・・」

ぎく。

「なぁんか怪しいなぁ・・・」
な、なに言ってんだよ!
大森君は僕を親友と思ってたんじゃなかったの?
そんなに親友の僕が信じられないのかい!?」
「そ、そんなことないよ!
・・・そ、そうだよね・・・高瀬君が僕に黙って彼女を作ったりしないよね。
なんたって僕達は親友だもんね」
「そうだよ。あ、あははは・・・はは・・・ふぅ」

な、なんとかごまかしたぞ・・・
しかし・・・すごく鋭い読みをしてるよ、大森君・・・

「それにしても・・・高瀬君って結構もてるんだね」
「へっ? ・・・そ、そう?」

自分ではそうとは思えないけど・・・他人から見たらそうなるんだろうか?

「だってさ、この前転校してきた岬さんとか隣のクラスの舞さんとかと良く話してるよね」
「う、うん」
「それに・・・ちょくちょく並木さん、遊びに来るよね? 彼女のクラスは一番離れてるのに」
「それは前にも言った通り、智香とは従兄妹どうしってことで気安く話せるだけだよ」
「本当かい?」
「ホントだよ・・・」

なんだか、えらく絡むなぁ・・・

「お〜い、龍也まだいるか〜?」

噂をすればなんとやら。教室のドアを明けて智香が入ってきた。
すでに俺と大森君以外のクラスメイトは帰ってしまっているので、智香もすぐにこちらに気づいたみたいだ。まっすぐこっちに向かってくる。

「いてくれて助かったよ。ホント、帰っていたらどうしようかと思った」
「どうしたんだよ。そろそろクラブが始まる時間だろ?」
「あ、そういや・・・って、あ〜もう! そんなのは後回し!
・・・で、ちょっとばっかし聞きたいことがあるけど・・・いいか?」
「あ、ああ」
「あの〜」
「実はさ、今『丸井町ホール』の映画館でやってる映画があるだろ?
あれ、ボクと一緒に見にいかないか? 好きだろ? あーいうの。
期日は龍也に合わせるからさ!」
「映画・・・?」
「お〜い」

ちょっと考え込む。
今、上映してる映画っていうと・・・B級ホラー映画だったよな。
確か・・・名前は『大パニック』

処女航海に出た豪華客船。しかしその途中で氷山にぶつかってしまう!
沈みゆく船の中、なぜかゾンビが大量発生!さぁ、君は脱出できるか!?

って内容だったよな・・・さすがは怖いもの知らずだ。
・・・まあ、たまには智香と映画ってのもいいか・・・

「そうだな・・・今度の日曜の正午からなら開いてるよ。それでいい?」
「ああ!それでいいよ。
いやぁ、断られたらどうしようかと思った。あははは・・・」

そう言って軽く照れ笑いを浮かべる智香。
こういうことで照れる智香はなんだか新鮮で、ちょっと得した気分だ。

「高瀬君・・・すでに君の目には僕の存在は映ってないんだね・・・
親友と思っていたのに、僕、寂しいよ・・・」

こ、このくらいでいじけないでくれよ・・・

そんなこんなで次の日曜。
俺は待ち合わせ場所、丸井町ホール前の公園で待ちぼうけをくらっていた。

「・・・ぅぉおそいっ!!」

約束の時間から20分は経っている。
映画も、見る予定だった回はすでに始まっている時刻。
ここまで人を待たせるとは・・・智香め、いい度胸だ。
こうなったら、智香が来たら文句の一つでも言わないと気がすまない。
そして、それをネタにファーストフードでも奢らせよう。うん、それがいい。

たったったっ・・・・・・

腹づもりが決まり、ちょっと怒りが落ちついた頃。
こちらに向かって必死にかけてくる女の子を見つけた。
ようやく来たか、智香・・・って、あれ?

「み、美樹ちゃん?」
「・・・えっ!? りゅ、龍也さん?
どうしてこんな所にいるんですか?」
「そりゃ、俺が聞きたいよ」
「わ、私は林檎ちゃんに誘われて、映画に行こうかなって・・・」

そういえば朝、なんだか美樹ちゃんうきうきしてたけど・・・そういうことだったのか。

「龍也さんは・・・どうしてここに?」
ぎく。
「お、おれ・・・俺も友達に映画に誘われて、ね」
「そうなんですか。じゃあ、もしかすると同じ映画かもしれませんね」
「そう、そうかもね。あははは・・・」

ヤバい。いくら従妹とはいえ、デートって取られてもおかしくないよな。
なんとか話をそらさないと・・・

「美樹ちゃん達がみる映画って、どんな映画?」
「丸井町ホールでやってる『大パニック』です」
「あ、それ、俺達が見るのといっしょだ・・・」

う〜ん、どうしよう。席が近いとあとあと面倒だな・・・
しかしあの映画、かなりスプラッタな内容だったはずだけど、美樹ちゃん大丈夫なのかな・・・

「龍也さんもですか。楽しみですね」
「そ・・・そうですか・・・」

意外に大丈夫らしい・・・人は見かけによらないな・・・


「それにしても、林檎ちゃん遅いな・・・いつもならこんなに遅れたことないのに・・・」
さすがに心配そうな表情をしている美樹ちゃん。
話しながら互いの待ち人を待っていたけど、一向に来る気配はない。
智香も来ない。美樹ちゃんと思いがけなく話せたからいいけど、約束忘れてるんじゃないのか、アイツ・・・
もっとも、智香が来ればまたややこしいことになるのは分かりきっているが。

すでに、先程から30分は経過している・・・

「どうする美樹ちゃん? このまま待つ?」
「そうですね・・・一度、林檎ちゃんの家のほうに連絡してみます。
もしかすると、何かあったのかも・・・」

言葉にして不安が具体的になったのか、居ても立ってもいられないとばかりに立ち上がる美樹ちゃん。
そのまますぐそばの公衆電話で電話をはじめる。
俺はそんな彼女をみながら、何をするでなくぼーっと眺めていた。
やがて、電話を切ると何やら拍子抜けた表情をして戻ってきた。

「どうしたの、美樹ちゃん?」
「はぁ・・・親戚筋の方の頼みで、急に出かけないといけなくなったらしいんです」
「じゃあ、美樹ちゃん、待ちぼうけだったってわけか・・・」
「ええ・・・そうなります」

そう言って溜め息をつく美樹ちゃん。
う〜ん、俺のほうも智香は来そうに無いし・・・よし!

「ねぇ美樹ちゃん? チケットはあるの?」
「それが・・・林檎ちゃんが持ってくるはずだったんで・・・」
「じゃあさ、俺も待ちぼうけになってるし、どうせならこのまま二人で見に行かないか?」
「でも、それじゃ龍也さんの友達が来た時に・・・」
「いいって、もう一時間以上待たされたんだ。智香も文句は言えないよ・・・」
「・・・」

あれ? いきなりむすっとしちゃってるぞ・・・?

「龍也さん、女の人との約束だったんですね・・・」

ぎぎくっ。

「あ、そ、そういや、そうだったような、そうでなかったような・・・」
「それならそうと言ってくれれば、私、席を外したのに・・・」
「いや、女の子といっても、智香はね・・・」
「それに、龍也さん、女の人との約束すっぽかすなんて・・・」
「そ、それは逆だと思う・・・」
サイテーです!! 龍也さんって、そんな人だったんですね!!」

うわ〜〜、なんか、無茶苦茶怒ってるよ〜〜

「私、龍也さんのデートのじゃまですよね! 帰ります!!」
「ちょ、ちょっと待った!」
「い〜え、待ちません!!」

そのまま立ち去ろうとする美樹ちゃん。
な、なんか誤解してないか〜〜
思わず、オレは美樹ちゃんの右手を掴んでいた。
そうだよ。このまま返したら、同居生活にもヒビが入る!

「放してください!!」
「待ってくれ!! 何か誤解してないか!?」
「何がです!!」
「智香ってのは従妹だよ!
『龍也が好きそうな映画だから』って誘ってくれたから、せっかくだからってことで・・・」
「え?」

美樹ちゃんの力が抜ける。でも、その表情はまだ怒ってる。

「従妹・・・ですか?」
「そ、そうだよ。前に話さなかったかな? 同じ学年に従妹がいるって」
「そういえば・・・」

よし、あと一息だ!

「でも・・・・・」
「それに、あいつには悪いけど・・・俺は美樹ちゃんと映画を見に行きたいんだ!」
「え・・・?」

言った・・・
確かに、この場を納めるための言葉だけど・・・間違いなく俺の本心、だ。

「・・・本当に、それでいいんですか?」
「ああ。遅れたアイツも悪いし、今度何か埋め合わせするさ」

そう言って、苦笑いを浮かべる。
美樹ちゃんが来るまでは、埋め合わせをさせるはずだったけど。

美樹ちゃんは、困ったような、それでいてなんだか嬉しそうな顔でしばらく考え込んだあと・・・ゆっくりと頷いた。

「ちゃんと、後できちんと埋め合わせしてあげてくださいね」
「そ、そうだね」
「そうと決まったら、早く行きましょう? 早くしないと日が暮れますよ」
「よし!」
「チケットはどうします?」
「大丈夫。ちゃんとあるから」

俺は、美樹ちゃんと連れ立って映画館に向かう。
なんだか映画を見る前にちょっとばかり疲れたけど、結果オーライだ。

智香・・・許せ、時間通り来なかったお前が悪いんだぞ。

後書き

お・ま・け(笑)

美樹EDを見た後に呼んでください(笑)
・・・でも、こんなシーン見たくない(火暴)


『あ、これ、オレの新しい住所』
「ありがとうございます。・・・私の住所です。」

俺は、美樹ちゃんから手渡されたメモをみて目を疑った。
まさか・・・

『み、美樹ちゃん!? これってもしかして…』
「はい。エアメールくださいね(^^)」

・・・神様も酷な事してくれるぜ(;_;)

Writer: K.Ktouth 氏

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