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深夜 〜眠れぬ夜のドリンクパーティ〜

お母さん。

「なに? 紗織」

お母さん。

「どうしたの? 紗織」


お母さん‥‥お母さん‥‥‥


ふと夜中に目を覚ました。
目を覚ました時は、別に眠くもなかった。
なぜ眠くないのか、不思議でしょうがない。なんでだろう?
なんか夢を見ていた気がする。
なんの夢だっけ‥‥

ふと、もう眠れないような気がした。
はぁ‥‥
ちょっと息を吐いて、ガバっと身体を起こしてみた。

「‥‥‥」

カーテンから差し込んでくる月明かりが、部屋の中をうっすらと照らしてる。
今‥‥何時かな。
枕もとの目覚まし時計を手に取って、薄明かりに照らして見た。
なんだ‥‥まだ二時。
わたしは、布団から抜け出して、ベットに腰掛けた。
明日は日曜だし、別に今から眠れなくても、ぜんぜん構わないけど、ちょっと退屈になっちゃうな‥‥
読みかけの本とかもあったけど、どうも読む気にはなれない。
なんだろう‥‥不思議な気持ち。

「お姉ちゃん‥‥もう寝ちゃっただろうな」

立ち上がって、うんと背伸びをしてから、わたしは部屋をこっそりと抜け出した。

ゆっくり‥‥ほんとにゆっくり、お姉ちゃんの部屋のドアをあけた。
明るい光が差し込んでくると思ったけど、そんな事はなくて、部屋の中は真っ暗。
そうよね。いつも早寝なお姉ちゃんが起きてる訳ないか。
開ける時よりも、ゆっくりドアを閉めてから、抜き足差し足で、なるべく音を立てないように、わたしは階段を降りた。

なんか飲物とかあるかな‥‥

暗闇でも、目が慣れてるせいで、電気つけなくても、不自由なく歩く事が出来た。
冷蔵庫を開けた時、わたしは目を細めた。
いつもはオマケ程度の明かりだと思ってたのに、こんなに明るかったのね。

「‥‥っと」

ひとしきり冷蔵庫を見回してみたけれど、何もない。
飲物と言ったら、牛乳とオレンジジュースくらい。あとは、冷えたビール。
いくらなんでも、わたしこんなの飲めない。
無いとわかったら、すぐに冷蔵庫は閉める。お母さんに何度もそう言われてるから。
わたしはすぐにドアを閉めた。
と、同時に、いきなりキッチンの電気がついて、そのせいでわたしは一瞬目を閉じた。
痛いくらい眩しい。

「‥‥紗織、どうしたの?」

キッチンの入り口に立っていたのは、お母さんだった。

「あ‥‥お母さん」
「どうしたの? こんな夜中に」

少し眠たそうだけど、でもあったかい笑顔。
明かりに慣れてきた目に、心地良かった。

「お母さん、どうしたの」
「なんか起きちゃって。なんか飲もうと思ったんだけど」
「わたしと同じ。でも、冷蔵庫の中、何も無いよ」
「入れてないから、無いのはあたりまえよ」
「えっ? そうなの?」
「あそこの戸棚の一番下に入ってるから」

お母さんが、キッチンの戸棚の下を指さした。
そこを開けると、確かに缶ジュースが入ってた。

「冷蔵庫に入れてあると、すぐ香織が飲んじゃうでしょ。
 だからそうやって出してあるのよ」

寝起きのせいか、苦笑まで柔らかい。

「お母さん、何がいい?」
「オレンジジュースを飲むからいいわ」
「そう‥‥」

わたしは、缶ジュースの中から、スポーツドリンクを選んだ。
寝起きに飲むがいいのよね。すっごくおいしいし。
風呂上がりにも最適。

「紗織、氷要る?」

冷蔵庫を開けたお母さんがそう言ってきた。

「あ、うん。お願い」

返事は、わたしの大好きな微笑みだった。

「最近、学校の方はどう?」

ダイニングテーブルの椅子に座ったお母さんが訊いてきた。

「うん。別にいつもとおんなじだよ」
「あなた達の事だから、わたしもそんなに心配はしてないけど」

達‥‥って事は、わたしとお姉ちゃんの事だよね。
わたし、お姉ちゃんほど頼られてるとは思ってなかったけど。

「お姉ちゃんならともかく、わたしは別に‥‥」
「香織はあんな風でしょ? いっつもあまり気にしないで元気だから。
 あなたはちょっと心配しすぎね」

お姉ちゃんとお母さんは、わたしにとって結構プレッシャーになってるって事、今のお母さんは、たぶん知らないんだろうなぁ。

「わたし、お姉ちゃんとは違うもん」
「そうね‥‥あなたは香織とは違うわね」

そう言ってから、お母さん、オレンジジュースを半分ほどコクコクと飲んだ。
なんだかおいしそう。
あたしもオレンジジュースにすればよかったかな。

「香織は香織だし、あなたはあなたよ。
 それぞれに良いところがあるんだから」
「そうかな‥‥」
「別に無理に自信持って、っていう訳じゃないのよ。
 自信無ければないで構わないから」
「‥‥‥」
「でも‥‥‥香織を引合いに出して、あなたには悪いんだけど、あなたもいっつも元気で居てくれたらなぁ‥‥って思ってる」
「わたしって、やっぱり元気ない?」
「そうじゃないわ。
 見てても、十分元気あるし、それはそれでいいの。
 でもちょっとつまづいたりした時、ちょっと立ち止まっちゃうような気がするのね」

言われてみると、確かにそうかもしれない。

「香織の場合、つまづいても、『いいや』って感じで、また歩き出しちゃう気がするの。
 それとまったく同じにして欲しいって言ってる訳じゃないけどその意気だけは欲しいわね」
「でも、お姉ちゃんだって、色々考えてるんじゃないかな」
「そうね‥‥あなた達の本当に考えてる事なんて、お母さんにはわからないわ」
「う、うん‥‥」

でも、お母さん、ちゃんと私達の事見ててくれてる。それは絶対言える。

「でも、見た目でも元気だったら、わたしもお父さんも、安心出来るのよ」
「そんなもんなの?」
「そんなものよ」

一瞬、お母さんがお母さんに見えなかった。なんだか友達と話してる感じ。
その時、入り口に人の気配がした。

「‥‥う‥‥ん、なに、何やってんの?」

ものすごく、もうそのまんま寝ちゃうんじゃないかと思うくらい眠そうな顔をしたお姉ちゃんが立っていた。
声からして眠そう。

「あ、お姉ちゃん」
「なによ‥‥なんでお母さんまで」

お姉ちゃん、ほんとに眠そう。目をこすりこすり言ってる。

「ちょっと飲物をね」

オレンジジュースが半分残ったコップを持って、お母さんがにっこり笑った。
お母さんの笑顔って、わたし大好き。

「香織、あなたもなにか飲む?」
「う‥‥ん。じゃ、あたしもオレンジューでいいや」

頭をポリポリと掻きながら、気だるそう。
お姉ちゃん、寝付きがいいのに、寝起きだけは悪いんだから。

「お姉ちゃん、ほら。座って座って」

隣の椅子を引いてあげた。

「夜中だってのに元気ねぇ‥‥紗織は」

放っておいたら、そのままテーブルに突っぷして寝ちゃいそうなお姉ちゃんを見てたら、なんだかおかしくなって、口元を抑えた。
これでお父さんまで起きてきたら、どうなるかなぁ‥‥‥

後書き

なんとなく書いてみました。
姉妹の性格分類を、ちょっとづつ書いていきたいです。

Writer: じんざ 氏

☆紹介文はこちら☆

総合評価 投稿数: 39 pts. / 平均: 4.7(良い方だと思う。)
コメント
  • 母親の視点で書いてますね〜
  • ねむたいよ〜
  • 初登場!沙織ちゃん一人称ですね!(^^)! なんか、すごく良いです。(^^♪ 三人とも同じ口調で、性格だけ変えるって言うのも大変でしょうけど、外さない所に作者様の才能を感じました。続編、期待していますね!(^^)v
  • ため最高〜〜〜〜〜!
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