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39:夏 〜朝顔模様の浴衣〜

8月3日

今日は夜になってから詩織と待ち合わせて神社へ行く事になった。
高校最後の夏休み。


玄関のチャイムの音でドアを開けると、詩織がいた。
朝顔の花模様の浴衣姿。
「こんばんわ」
「早かったね」
「早く行った方が、長く楽しめるかな‥‥って思ったから」
「そうか‥‥それより‥その浴衣‥‥」
「え?‥‥どこか変?」
「いや、そうじゃなくて‥‥似合うな‥‥って」
「え? ほんとに?」
一つ頷く。
「ふふっ‥‥ありがとう。うれしい」
「そ、それじゃ、もう行こうか」
「うん、行きましょう」
神社の祭りばやし。
聞こえてくるまでに一杯話が出来そうだ。

8月10日

強い陽射しに誘われて、近所の公園でベンチに転がって昼寝。


すっかり寝込んだ後、起きてみたら頭の横に何かを包んだタオル。
見覚えのあるタオル。
中にはまだ冷たいジュース。
しかし、回りには誰もいない。
「なんだ‥‥詩織が来てたのか」
冷えたタオルを首筋に当てた。
日焼けで火照った身体に、冷えたタオルとジュースは心地良かった。

8月15日

「はい。藤崎です」
詩織の声だ。


「もしもし…だけど」
「あ、…?」
「ごめん。忙しかった?」
「ううん‥‥そんな事ないよ」
弾む声。嬉しそうな響き。
「それより、どうしたの?」
「あ、明後日なんだけど、詩織、なんか予定ある?」
「明後日? 別に‥‥何もないけど」
「そっか。それなら‥いきなりでなんだけど、プールに行かない?」
「え‥‥‥」
「駄目かな?」
「駄目だなんて、そんな事‥‥行きましょう。プール」
「ほんとに?」
「誘った本人が驚いてどうするの?‥‥ふふっ」
「べ、別に驚いてなんかないよ」

驚いた訳じゃない。嬉しかっただけだ。

8月17日

自宅前。


「ごめんなさい。
 ちょっとだけお母さんのお使いに出る事になっちゃって‥‥」
「いいよ。待ってるから」
「そんな‥悪いから‥‥先に行って待ってて。ね、お願い」
「‥‥‥そっか、じゃ仕方無いな。先に行ってるよ」
「ほんとにごめんなさいね。それじゃ終わったらすぐに行くから」

同日 遊園地プール前

待つ事20分。
「ごめんなさい」
息を切らせて詩織が駆けてきた。


「はぁはぁ‥‥ごめんなさい。ちょっと手間どっちゃって」
「そんなに急いで来なくても良かったのに」
「だって‥‥」
「‥‥‥ほら」
こんな事だろうと思って買っておいたジュースを差し出した。
「ありがとう‥‥」
「いいって。それより、暑いなぁ‥‥今日は」
見上げる空。チラリと詩織を見ると、同じ空を見上げていた。

Writer: じんざ 氏

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総合評価 投稿数: 279 pts. / 平均: 4.7(良い方だと思う。)
コメント
  • なんかゲームの中のワンシーンみたいで、結構面白かったです。(^^)
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